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お念珠の作り方&直し方

「英尊さんって、お念珠の紐を自分で編むことできますか?」

ある日、後輩からこんな電話がかかってきました。

近年は、多くのお寺において法座へのお参りが少なくなってきているという現状もあり、お寺の行事に新しい取り組みを模索しているお寺も少なくありません。
てんぷるらいふのメンバーでも、音楽を通して教えに親しむ活動や、お茶会を開いて交流を深めたり、映像を用いて法話や御絵伝の解説をすることもあります。

今回電話をかけてきた後輩の住む地域の仏教婦人会でも、

「みんなが興味をもってくれるような研修って何がいいだろう」

と毎年色んな企画を練っているそうで、

「よし、今年はお念珠を作ろう!!」

ということになり、私に相談がきたというわけです。
お念珠に関して、専門家でも特段詳しいわけでもないので恐縮しながらも、せっかくの機会なので講師を受けさせていただくことにしました。

今日は、その研修会で行なった「単念珠4本紐房」の作り方を紹介したいと思います。

当日の日程は法話を40分、お念珠作りに50分というお時間。
法話もせっかくなので「お念珠」や「合掌」など、関連するところを中心にお話しさせていただきました。

単念珠には紐のものとフサフサっとしたものがついたタイプのものがあります。
よく「男性は紐で、女性は房」と書かれたものを見かけることがありますが、そんなことで区別をつけるのはおかしいので、好みのものを使われるのが良いと思います。
今回は紐のものを作っていきます。

まず名称ですが、「念珠」というよび方と、「数珠」というよび方がありますが、どちらのよび方をしても間違いではありません。ただもともと「何回お念仏をしたか」を珠を用いて数えたことから「数珠」となったといわれ、浄土真宗ではお念仏の多少は問題ではないため、数を数えるための法具として用いないことからも「念珠」とよばれることのほうが多いようです。

単念珠の各部位の名称は上図の通り。
珠の数や素材はお念珠によってそれぞれですが、「二天」の下にくる「主玉」は左右同じ数となります。

【準備物】は、各種珠、珠を入れておく容器、紐2本(ひとつの目安として、珠に通す紐90cmぐらい、もう1本80cmぐらい)、ハサミ、あと「事前準備」では千枚通しと木工用ボンド、カッターを用意しました。

手間がかかりますが「事前準備」はしておかないと、珠に紐を通すのが難しいので、人数が集まる研修会では必須です。テグスや針金を巻き付けておくと、より珠を通しやすくなります。

毎年子どもを対象とした念珠作りをしていることもあり、珠は何色か持ち合わせがありました。参加者皆さんに好きな色を選んでいただきました。

これから作り方を紹介していきますが、プロの念珠屋さんが見ると素人仕事の雑な部分や、研修会用に初心者でも作りやすいようにしてあるところもありますのでご容赦ください。

てんぷるくんが言うように、最後親玉に紐を通すのがとっても難しいです。
今回、研修会は30数名の参加でしたが、自分で通せたのはわずか2人。あとの方はお手伝いさせていただきましたが、50分という時間で30名以上を時間内で手伝って回るのは結構ハードでした。
今回は、他にもお手伝いくださる方がいたので時間内に全員完成しましたが、30名以上だと「事前準備」で紐にテグスは巻いておいたほうが良いと思います。

ここから、編み方に2通りあり、上の工程を繰り返して同じ方向に編み続ければ「丸編み」、1回ごとに編む方向を変えると「角編み」になります。

以上で完成となります。

何とか予定時間内に全員完成することができました。

「孫へプレゼントとして渡そうと思って作っていましたが、やっぱり自分で使います!」

と言われる方がいましたが、自分で作ると愛着も湧きます。

このたびは珠を用意して一から作るという形になりましたが、あるお寺では法座のときに、それぞれ使っていて紐が切れてしまったお念珠を持ち寄り、法座の後にみんなで紐を編み直して修理されるという取り組みをされているとお聞きしたことがあります。

お念珠は阿弥陀さまを敬いながら合掌礼拝するための大切な法具ですが、自分で直すことができれば、「これからも大切にしよう」という気持ちが深まるかもしれませんね。

紐は仏具屋さんなどで自分好みの色のものを購入することができますので、皆さまもぜひ挑戦してみてください!

参加者が作ってくださったお念珠です。
右2つは、帰ってからもう1つ家族用に作られるそうです♪

執筆者 田坂英尊

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